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【書評】深夜特急1 香港・マカオ | 沢木耕太郎

time 2017/06/14

【書評】深夜特急1 香港・マカオ | 沢木耕太郎

バックパッカーのバイブルとも言える「深夜特急」。
実は、自分はずっと読まずにきたが、移動の時間やホテルでのリラックスの時間を使って読んでみた。

たぶん、自分が今まで読まなかった一番の理由が、6巻からなるこの本の第1巻が「香港・マカオ」から始まるからだと思う。
香港はアジアでとても近いため、正直あまりエキゾチックな感じや興奮を覚えなかったのだ。
実際、今までいろいろな国を旅行しているし、香港に住んでいる友人もいるが、それでも今まで一度も香港やマカオには行ったことがないし、行こうと思ったこともなかった。

でも、今回この本を読んで「香港とマカオに行こう」と思った。

今の自分が香港に行ったとしても、香港はすでにだいぶ変わっているだろうし、自分が旅の経験値を増やしすぎたため、おそらく著者のように新鮮な経験をすることはできないと思う。
それでも、この本の中で語られているカオスを実際に肌で感じたいと思った。

著者のこの旅の目的は「インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバス行く」というものだが、デリーまでの格安チケットを購入する際に代理店の女性からストップオーバーを無料でできることを教えてもらい、まず、香港に寄ることになる。
つまり、この「深夜特急1 香港・マカオ」はこの旅の序章であり、番外編だ。

香港には2〜3日滞在したら次の都市へ移動するつもりでいた著者だが、もう1週間、また1週間、とどんどん滞在が延びていく。彼は香港で観光をするわけでもなく、「黄金宮殿」という名の怪しげなホテルに泊まり、ローカルな場所を当てもなく歩き続ける。

この旅のスタイルは、自分が南米を旅していたときに非常に似ている気がする。
実際、コロンビアなど観光名所がそんなにあるわけでもなく、いやあるけれどもそんなに観光するわけでもなく、気づけはビザなしで滞在できる90日間ギリギリ滞在してしまい、そのあとまた戻ってしまった。
その国、その街のオーラ・空気に惹きつけられてしまい、毎日特別なことが起きなくても楽しい・興奮しているという感じはよく理解できる。

そして、ある日、著者は香港から連絡船で2時間半のマカオへ行く。
彼は貧乏旅行をしていたので、カジノへ行く気などさらさらなかった。
ところが、意外にも高級そうな素晴らしいホテルに安価に泊まれたことで気が大きくなったのか、カジノで賭けをし始める。
そして、小さく勝ったり負けたりをしているうちに、掛け金も大きくなり、かなり大きな負けが嵩む。
そんなとき、カジノのあるルールを見つけて…。

あとは、この本を読んでみてほしい。
非常に読みやすい上に臨場感溢れる文章で、自分がその場にいるかのような気になれる。
特にこれからバックパッカーをする人、既にバックパッカーの人にはオススメ。

そして、もうひとつ興味深かったのが巻末の付録とも言うべき、山口文憲氏との「[対談]出発の年齢」。
二人が海外に行ったのは26歳のとき。
そして、それを正当化するためにいろいろな話を中でしているんだけど、自分自身のことを考えたとき、バックパッカーとして南米へ旅立ったときは、確かに自分も25、6歳で、この年齢だから経験できた、感じることができたことがたくさんあったと気付かされた。

10代やハタチそこそこの旅人は多くいるし、実際に羨ましいとも思う。
だけど、著者曰く、その年代で旅に出ても、旅だけじゃなく、異性のことだとか、ドラッグだとか、いろいろなものを一度にやらなきゃいけないから大変、と。
でも、25、6歳で旅に出て一度ドロップアウトすると日本では社会に戻ることが難しい、とも言っている。
つまり、アメリカなんかでは、社会人を辞めて旅に出たあと、また大学に入って学び直してから企業で働く、ということが可能だけど、日本じゃ難しい、と。
当時と今では多少状況が変わっているとは思うものの、やっぱりその通りだとも思う。

ただ、ここで自分がハッとしたのは、また自分の状況とリンクしたからだ。
自分は中学卒業後に高校にすら進まずに仕事を始めた。
その後、25歳頃に旅に出て27歳頃に日本に戻ってきた。
そして、その後、高卒認定を取って、仕事をしながら通信制の大学で勉強を始めた。

日本にいたころには、新卒採用とか大手企業で働く、ということを考えない場合、というか自分の場合、学歴のハンデを感じる場面はほとんどなかった。
だから、大卒が必要だなんて思うことは全然なかった。
だけど、海外で旅をしている間に知り合う人々は皆高学歴で、何がメジャーだった?とか政治の話とかをバンバンする。
そのとき、自分の英語力の問題じゃなくて会話が続かないことにガッカリした。
これが大学で勉強しようと思った1つの理由。
そして、もう1つの理由が、海外で働くためにビザを取るには大卒が最低条件になっていることが多いため。

最後に、著者はハワイを「世の中で一番好きなところのひとつといっていいですね」と言っている。
これは、いろいろなところをワイルドに旅してきた著者の印象からすると意外かもしれないが、これも自分にとってはとてもしっくりきた。
自分もいろいろな国を旅したい、もっと見たい、クレイジーなこともしたい、と思っていると同時に、住むならハワイとか沖縄がいいな、なんて思ったりする。

自分はこの著者に共感する部分が非常に多かったが、そうではない人にとっても、旅がしたい!と思わせてくれる最高の本だと思う。

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